精神病患者の誕生

「あなたは双極性障害、いわゆる躁うつ病です」

 

36歳、バツイチ、非正規雇用。物心ついたころから社会にうまく適応できずにいた。それも個性、と、だましだまし生活してたんだけど、いよいよ本格的に社会に適応できなくなってきたので心療内科を受診。臨床心理士のインテーク面接を経て、医師の診察。双極性障害I型という診断名が下された。ひとりの精神病患者が誕生した瞬間だ。

 

おれの話。ファスト風土文化も未だ存在しない90年代の地方都市でサブカルに憧れつつバンド活動を行いながら「ここは退屈迎えに来て」と心から願う高校時代を経て、都内の名の通った大学に指定校推薦で入学し、当時大人気だった心理学を専攻。5年かかって卒業後、大学院に進学と同時に学生時代からお付き合いをしていた1学年下の子と23歳で入籍。順調に修士号を取得し、まさかの博士後期課程に進学も、論文が書けずにうだうだしてる隙に嫁の浮気が発覚し離婚したのが27歳。と同時にうつになり単位取得済満期退学。その後いくつかの大学で非常勤講師をしながらミュージシャン活動を続けるも、いよいよ食えなくなって契約社員としてサラリーマン生活を開始して3年。こんなところ。

 

いろんな人に、お前の人生は小説になるからいつか書けって言われ続けてきた。そのたびに、おれはまだ何も成し遂げてないから書いたってだれも読んでくれないよ、と流してたんだけど。

 

躁転してるときのエピソードには事欠かない。なにか成し遂げたってわけじゃないけど、精神病です、と宣告されたおれの半生。いつから発症してるか自分でも定かじゃないんだけど、この場でおれの過去を書き綴っていくことで、病態を明らかにしていこうと思う。おれの病跡学(パトグラフィ)だ。読んでる人がいるかどうかわからないけど、自分のために書き綴っていこうと思う。

 

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て

 

 

「双極性障害」ってどんな病気?  「躁うつ病」への正しい理解と治療法 (心のお医者さんに聞いてみよう)

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